超再生回路を定量的に考察してみました(その3)
■概要
新形式の超再生回路の提案です。
部品点数が少なく、高感度で再現性の良い回路です。
■原理
超再生回路の原理は、クエンチング(間欠)発振している回路にRF信号を印加すると、その振幅に応じてクエンチングの幅や周期が変化するので、それを平滑してAM復調するというものです。
発振回路はなんでも良く、一般的にはColpittsが使われますが、Colpittsの難点は調整を要する箇所が多いので、最適な動作点を求めるのが結構大変な点です。
部品点数の少なければ、調整ポイントも少ないので、その分検討が楽になります。
■新形式の回路
VCO技術の発展の歴史の「モノリシックVCO」に記載された差動正帰還形発振回路を参考にしました。
基本形は差動ですが、それをシングルエンドに変換することができます。
クエンチング発振をさせるには、他励式という選択肢もありますが、他の回路と同様エミッタにLとCR回路を挿入するだけでクエンチング発振します。
発振周波数はRCの時定数で決まります。
下記が実際の回路です。CR回路はコレクタ側に挿入しても、全く同じ結果になります。
この回路の良いところは部品点数が少ないことと、安定性というか再現性が極めて高いことです。
■Simulation
とりあえずコレクタ側にCRを入れる回路でSimulationしてみました。
上図のTRは2SC5064ですが2SC1815に変えて、Rは発振が持続できる範囲でできるだけ大きく、またCでクエンチング発振の周期を決めます。
最終的にはR52=22kΩ、C7=10nFとしました。L6は最適値の幅が広く、100uHでもOKですが10uHとしました。なおVccは2.5Vです。
Simulationではノイズが定義できず、検波出力からは感度が判断できません。
また6dB帯域幅は約±1MHzとなり、ColpittsのSimulation値の約半分でした。
■実機の評価
実際に組んでみました。
S/N10dBの感度は約-95dBmとラジコン基板より10dBほど良くなっています。
AGC特性はラジコン基板より劣りますが、-20dBmの強電界でも破綻しませんでした。
また6dB帯域幅は約±0.3MHzと特筆すべき狭さでした。
なおエミッタ側にCRを入れる回路でも同じ結果が得られたことを付記しておきます。
新形式の回路がSimulation・実機とも十分働くことがわかりました。
感度はラジコン基板より良く、帯域も狭くいい感じですが、その理由は明確ではありません。ラジコン基板も調整すればもっと良くなるかもしれず、今後の検討課題です。
TRを2SC5066に変えると感度がアップする兆しが見えましたので、次回報告します。
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