AnalogTV Tuner/VIFで作るAir Band RX
■概要
超再生Air Band Rxは確かに聞こえはしましたが、選択度とS/Nで不満が残りました。
そこで、もう少しまともな?Rxを、と企画しました。
使用するAnalog TV Tuner/VIFはUS Band(48~890MHz)で、その昔、秋月電子で買ったものです。
PICマイコンでFrequency SynthesizerのDataを送信し、受信周波数をLED表示します。
受信モードはAMで、PLL同期検波の映像出力から復調出力を得ます。
PICマイコンでFrequency SynthesizerのDataを送信し、受信周波数をLED表示します。
受信モードはAMで、PLL同期検波の映像出力から復調出力を得ます。
PLLループからFM復調出力を得ることもできますが、PLLのCapture Rangeが広いので、Narrow Band FMの場合S/Nが十分とは言えず、AM専用のAir Band Rxと割り切りました。
■仕様
1.ロータリースイッチにより、1MHzステップで受信周波数を合わせます。
2.周波数は4桁のLEDで表示され、たとえば120.8MHzを聞きたければ「120.0」に設定します。
2.Capture Rangeは受信レベルによりますが最大±1.5MHzあるので、電波があれば、設定周波数が120MHzでも120.8MHzを引き込み、AM復調されます。
3.この時125kHzステップでさらに微調して、AFT(Automatic Fine Tuning)出力がセンター電圧(Just Tune)になるまで自動調整します。
4.微調のSynthesizer Dataから、最終的に「120.8」とLEDに周波数を表示します。
5.いったん引き込めば、PLLの特性で隣接する電波の影響は受けません。
6.逆に一番強い電波を引き込むので、その電波がある限り隣接する弱い電波は受信できないことになります。
7.120.8MHzの電波が切れると、±1.5MH以内に別の電波あれば、その中で最強の電波を引き込み、例えば「119.5」と周波数表示します。
8.すなわち、設定周波数の±1.5MHz以内にある一番強い電波を自動的に追従するということになります。
■LM7578N
このTuner/VIFのVIF部に使われているSharp製のICは、PLL同期検波で映像出力を得ます。
アナログテレビ時代の最後を飾るRF技術と言えるでしょう。
USA Bandなので中間周波周波数は45.75MHzですが、今回は残留側帯波ではなく通常のAMですから中間周波数はSAWF中心周波数の44.0MHzに変更します。
Band幅は±2MHzほどあって広すぎますが、PLL同期検波の特性を利用してそれを逆手に取る作戦です。
仕様で述べたように元々のCapture Rangeはデフォルトで±1.5MHzあります。ある程度完成したところで実際に受信すると、±1.5MHzもあると追従範囲が広すぎて実用的ではありませんでした。
VCOの容量は上記回路のように24pFですが、これを増やしてHigh C・Low LにしてCapture Rangeを下げました。
容量を76pFにして様子を見たところ、大丈夫そうでした。なお、SIF部はインターキャリアではありませんので使えません。
■回路
(1)Frequency Synthesizer部
PIC P16F84AでTunerの受信周波数を制御します。
ロータリースイッチの回転で割り込みをかけ、右回転で1MHzステップでUPし、左回転でDOWNします。
AFT出力を常時見ていて、変化があると周波数設定のMSレジスタを書き変え、125kHzステップでUP/DOWNします。
MSレジスタの内容から受信BANDを判定して表示します。
またその命令を3線でTunerに送ると同時に、1線調歩同期でLED表示のP16F84Aに送ります。
(2)LED表示部
PIC P16F84Aで調歩同期によってMSレジスタの信号を受け、受信周波数を4桁LEDに表示します。
TunerはUpperヘテロダインです。MSレジスタはLocal発振周波数を表しているので、受信周波数はそこから440を引きます(IF周波数は44MHzなので)。
その値をBCDに変換し、さらに7 Segに変換します。
(3)Vari Cap電圧部
LMC555で200KHzの発振をさせ、倍電圧整流で24Vを得ています。
Band 4をカバーするには30V欲しいのですが、24Vでもなんとかなります。
(4)AF Amp部
Fc=3KHzのLPF通過後、TDA7266でスピーカーをドライブします。
(5)AFT UP/DOWN部
AFT出力は-0.1V/100kHzですので、UPのVthをセンター電圧+0.5V、DOWNのVthを-0.5Vに設定します。
(6)電波強度の表示部
AGC電圧を反転して、LM3914を使い10個のLEDにバー表示します。
AGC電圧は-50dBmで飽和してしまいますが、これで良しとします。
■感度測定
実用感度は-100dBm程度です。
なお、常時AFTを動作させると、受信周波数がどんどんずれてしまうことがありましたので、一度受信周波数を決まると一定時間後はAFTをDefeatする機能を追加しました。