AnalogTV Tuner/VIFで作るAir Band RX(修正版)
■仕様の修正
1.100kHz桁の周波数表示
旧仕様では、受信するとAFT出力を見てJust Tuneになるまで周波数をUp/Downし、そのJust Tuneした周波数を表示しました。この方式の欠点は、受信していた局が停波すると今度は隣接する局にJust Tuneするという操作を繰り返し、受信周波数がどんどん変化していくことです。これはこれでいい面もありますが、当初の受信周波数から10MHz以上もずれてしまうのはさすがにやりすぎでした。
新仕様ではAFT出力で周波数をUp/Downするのではなく、AFT出力あるいはPLLのループ電圧など周波数に比例した電圧から周波数を計算して、100kHz桁の周波数表示をします。
こうすれば、中心周波数は変わらずCapture Range±500kHz内で受信した周波数を表示できることになります。
2.LNA
もとの実用感度は-100dBm程度という物足りない値でしたので、Tuner内にGp≒20dBのLNAを追加しました。設置場所が限られていましたが、なんとか内蔵することができました。
3.Band Scope
使用したAlpsのTuner/VIFは44MHzのIF出力がありますので、それを外付けのSDRsharpに接続してBand Scopeとしました。SDRsharpを使えばAM以外も復調できますので、本格的な?Wide Band Receiverに変身します。
Amazonで購入したUSBドングルは2信号特性がイマイチですが、Band Scopeとしてなら使えます。
■修正の詳細
1.100kHz桁の周波数表示
(1)AFT出力から周波数を計算する方法
この方法の欠点は、RF入力が-90dBm以下になるとAFT出力が減少することで、少々物足りないです。
(2)PLLのループ電圧から周波数を計算する方法
上がVCOの共振容量が80pF、下が57pFの時の結果です。AFT出力と異なり、RF入力が変化してもLoop電圧の傾きは変化しません。これは好都合です。
Capture Rangeが弱電界では目標の±500kHzより狭くなりますが、中強電界とのバランスを考慮して、共振容量は57pFが適当かと思います。
弱電界でもVout vs Freq.の変化が少ない(2)のPLLのループ電圧方式を採用しました。
2.A/D Converter
LA7578の18pinはHigh Impedanceなので、MOSFETでバッファしてPIC12F675でAD変換します。周波数シンセサイザーデータのうちTunerに送る分は1MHz桁までとして、LEDで表示するときは、100kHz桁だけAD変換した値と置き換えます。
3.LNA
LNAの条件はほどほどのGain・強耐妨害性・低NF、それに小型であることです。
秋月電子のLNAの中から、Gain=17dB・OIP3=13dBm P1dB=-2.5dBmNF=2.2dB@1GHzのBGA420を選択しました。
基板は秋月電子の超薄型変換基板を3.6x16.0mmに切って、実装しました。
挿入位置はFコネクタ直後はスペースがなく、IF妨害除去HPFの後ろになんとか収めました。
4.信号強度の表示
IF AGC電圧を使ってLEDバー表示をしていましたが、強電界での表示がイマイチでしたので、RF AGC電圧に変更しました。
RF AGCの開始ポイントを弱電界に設定すれば、RF AGCが主になるので強電界から弱電界までリニアなAGC電圧が期待できます。下記はRF AGCの開始ポイントを-100dBmにした結果です。S/N比は20dBもあればよいので、開始ポイントを弱電界に設定しても問題はありません。
■修正した回路図の補足
1.LM7578N
このTuner/VIFのVIF(映像中間周波)部に使われているSharp製のICは、PLL同期検波で映像出力を得るICです。アナログテレビ時代の最後を飾るRF技術と言えます。
PLLのCapture Rangeはもともと±1.6MHzもあるので、さすがに広すぎます。周波数設定は1MHzステップなのでCapture Rangeは±0.5MHzでいいのですが、弱電界で減少するのを考慮して±0.7MHzに設定しました。
2.IF
本来の中間周波数は45.75MHzですが、TVの残留側帯波を受信する訳ではないので、SAWFのセンター周波数である44.0MHzとします。
6dB帯域幅は3.5MHzと広すぎますが、置換できるフィルターがないので、このままにしておきます。
■Band Scope
Amazonで購入したUSBドングルはDS-DT308SV(\998)です。
同梱されてるDegital TVのソフトはWindowsXP用ですが、Windows10用のSDRsharpソフトをインストールすればWindows10上で動作します。
ダウンロードはfalconblogを参考にしました。NET SDKはPC内に既にあったようで、インストール不要でした。
Analog TV TunerはUpperヘテロダインなので、Invert SpectrumをONにしています。
■性能評価
1.感度
LNAの有無で比較しています。
LNAのGainは約20dBあるのですが、AF出力が-6dBになる最大感度は約10dBしか改善していません。その理由がよくわかりません。
S/N感度はNFが7~8dB良くなるはずなので、その分改善してもいいのですが、そこまでの改善はありません。S/N20dB感度に至っては、ほとんど改善していません。
S/N比のボトムが35dBそこそこなのがその理由かと思われますが、PLLの位相ノイズが大きいのでしょうか。
2.100kHz桁の周波数表示
無信号時は「0」を表示すべきところ「1」を表示しています。
これは無信号時とJust Tune時のLoop電圧が違うためですが、実用上、大きな問題ではないので、対策はしていません。
また温特があるので、いずれ温度補償をします。
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