2022年3月3日木曜日

Receiver 2.1:PLL同期検波VIF ICを使ったAir Band RX

AnalogTV Tuner/VIFで作るAir Band RX

■概要
超再生Air Band Rxは確かに聞こえはしましたが、選択度とS/Nで不満が残りました。
そこで、もう少しまともな?Rxを、と企画しました。
使用するAnalog TV Tuner/VIFはUS Band(48~890MHz)で、その昔、秋月電子で買ったものです。
PICマイコンでFrequency SynthesizerのDataを送信し、受信周波数をLED表示します。
受信モードはAMで、PLL同期検波の映像出力から復調出力を得ます。
PLLループからFM復調出力を得ることもできますが、PLLのCapture Rangeが広いので、Narrow Band FMの場合S/Nが十分とは言えず、AM専用のAir Band Rxと割り切りました。

■仕様
1.ロータリースイッチにより、1MHzステップで受信周波数を合わせます。
2.周波数は4桁のLEDで表示され、たとえば120.8MHzを聞きたければ「120.0」に設定します。
2.Capture Rangeは受信レベルによりますが最大±1.5MHzあるので、電波があれば、設定周波数が120MHzでも120.8MHzを引き込み、AM復調されます。
3.この時125kHzステップでさらに微調して、AFT(Automatic Fine Tuning)出力がセンター電圧(Just Tune)になるまで自動調整します。
4.微調のSynthesizer Dataから、最終的に「120.8」とLEDに周波数を表示します。
5.いったん引き込めば、PLLの特性で隣接する電波の影響は受けません。
6.逆に一番強い電波を引き込むので、その電波がある限り隣接する弱い電波は受信できないことになります。
7.120.8MHzの電波が切れると、±1.5MH以内に別の電波あれば、その中で最強の電波を引き込み、例えば「119.5」と周波数表示します。
8.すなわち、設定周波数の±1.5MHz以内にある一番強い電波を自動的に追従するということになります。

■LM7578N
このTuner/VIFのVIF部に使われているSharp製のICは、PLL同期検波で映像出力を得ます。
アナログテレビ時代の最後を飾るRF技術と言えるでしょう。
USA Bandなので中間周波周波数は45.75MHzですが、今回は残留側帯波ではなく通常のAMですから中間周波数はSAWF中心周波数の44.0MHzに変更します。
Band幅は±2MHzほどあって広すぎますが、PLL同期検波の特性を利用してそれを逆手に取る作戦です。
仕様で述べたように元々のCapture Rangeはデフォルトで±1.5MHzあります。ある程度完成したところで実際に受信すると、±1.5MHzもあると追従範囲が広すぎて実用的ではありませんでした。
VCOの容量は上記回路のように24pFですが、これを増やしてHigh C・Low LにしてCapture Rangeを下げました。
容量を76pFにして様子を見たところ、大丈夫そうでした。
なお、SIF部はインターキャリアではありませんので使えません。

■回路

(1)Frequency Synthesizer部
PIC P16F84AでTunerの受信周波数を制御します。
ロータリースイッチの回転で割り込みをかけ、右回転で1MHzステップでUPし、左回転でDOWNします。
AFT出力を常時見ていて、変化があると周波数設定のMSレジスタを書き変え、125kHzステップでUP/DOWNします。
MSレジスタの内容から受信BANDを判定して表示します。
またその命令を3線でTunerに送ると同時に、1線調歩同期でLED表示のP16F84Aに送ります。
(2)LED表示部
PIC P16F84Aで調歩同期によってMSレジスタの信号を受け、受信周波数を4桁LEDに表示します。
TunerはUpperヘテロダインです。MSレジスタはLocal発振周波数を表しているので、受信周波数はそこから440を引きます(IF周波数は44MHzなので)。
その値をBCDに変換し、さらに7 Segに変換します。
(3)Vari Cap電圧部
LMC555で200KHzの発振をさせ、倍電圧整流で24Vを得ています。
Band 4をカバーするには30V欲しいのですが、24Vでもなんとかなります。
(4)AF Amp部
Fc=3KHzのLPF通過後、TDA7266でスピーカーをドライブします。
(5)AFT UP/DOWN部
AFT出力は-0.1V/100kHzですので、UPのVthをセンター電圧+0.5V、DOWNのVthを-0.5Vに設定します。
(6)電波強度の表示部
AGC電圧を反転して、LM3914を使い10個のLEDにバー表示します。
AGC電圧は-50dBmで飽和してしまいますが、これで良しとします。

■感度測定


実用感度は-100dBm程度です。
なお、常時AFTを動作させると、受信周波数がどんどんずれてしまうことがありましたので、一度受信周波数を決まると一定時間後はAFTをDefeatする機能を追加しました。













2022年1月30日日曜日

Receiver 1.5:超再生(Air Band)

 超再生回路を定量的に考察してみました(その5)

                   LNA           超再生回路   AF Amp
■概要
新形式の回路でAir Band RXを作りました。
超再生RXは基本的にはAM受信機です。
応用例は?と考えると、今やAMで通信をしているのは一部のアマチュア無線かAir Bandくらい。そのほかOOKの応用でとしてラジコンやキーレスエントリーなどが思い浮かびます。
ということでAir Band RXを作ることになりました。

■目標規格
受信周波数:118~128MHz
感度@120MHz (S/N20dB@1kHz 60%AM):-110dBm(LNAアリ)
6dB帯域幅(S=-6dB@1kHz 60%AM):±500kHz
最大許容入力@90MHz/120MHz(S=+6dB@1kHz 60%AM):-30dBm(LNAアリ)

■基本回路
回路の感度・選択度・AGCレンジなどを決める要素はたくさんはあります。
27MHzの経験から、C1=5pF・C2=22pF・L1=47nH・L2=22uH・R2=22kΩ・C4=4.7nFとして、VE点における検波出力レベルのSimulationをしました。 
C3は後述しますがL2の等価並列容量で、自己共振周波数から逆算しました。C3の影響は無視できません。

Simulationと実機の結果は下記のようになりました。
Simulationでは-120dBm以下も出力が一定になっていますが、その現象は(その4)の検討でも同じです。熱雑音が考慮されていないためですが、なかなかうまく熱雑音を定義することができません。
また-50dBm以上の強電界では、Simulationでも実機でも出力が急激に増加しています。これはクエンチング発振と包絡線検波が混在しているためです。下記のSimulationはRF入力が-30dBmのときの波形です。RF入力が大きいとクエンチング発振が停止していることがわかります。
検波出力が-6dBになるポイントを-6dB感度、+6dBになるポイントを最大許容入力と定義します。大雑把にいえば、-6dB感度は-100dBm、最大許容入力は-40~-30dBm(AGCレンジ50~60dB)という結果になりました。

この基本回路の受信周波数は120MHz付近でしたので、この状態で50MHzのループアンテナをつないでAir Bandを受信してみました。120.5MHzの Tokyo Controlと上空の旅客機との交信が受信できます。
気をよくしてLNA(BGA420:Gp=19dB/NF=2dB)を接続したところ、FM放送のバリバリという妨害を受け受信不能になりました。単に選択度の不足だけではなく、AGCレンジがオーバーしているためのようです。

改めてAir Band周辺の電波状況を測定したところ、LNAを接続した状態でFM放送(80MHz帯と90MHz帯) が-30dBm、デジタル警察無線(150MHz帯) が-30dBmであることがわかりました。
最大許容入力の周波数特性を測定すると、90MHzにおいて-16dBm(LNAナシ)でしたので、LNAアリで-35dBmと計算され、受信結果と一致しました。
この結果を受けて、最大許容入力の規格を追加しました。

■各素子の最適化
検討早々、基本回路の定数では不十分であることがわかりましたので、各素子の値を検証します。
(1)C1・C2・L1
C2・L1は発振周波数帯における常識的な値に決めますが、アンテナとの結合度を決めるC1は悩みます。FM妨害を避けるためには5pFでは大きいことがわかりましたので、C1を小さくして負荷Qを上げてみます。
C1を2pF、1pFと下げると最大許容入力は改善しました。
帯域幅も5pFで±700kHzが1pFで±500kHzと改善しますが、感度低下の方が気になります。
LNAを前置すると、感度はある程度カバーできるはずです。
5pFと1pFの感度差をNFの差とみなすと11dBありますが、LNAのGainは19dBあるので計算上は全体のNFにはほとんど影響しません。実測してみるとその通りになりました。
最終的にC1=1pF・C2=22pF・L1=47nHにしました。

(2)R2・C4
クエンチング周波数はR2・C7の時定数で決まり、一般に100kHz程度に設定します。
R2=22kΩ・C4=4.7nFのとき、クエンチング周波数は約82KHzでした。
クエンチング周波数を変えても出力レベルは変わらないことは(その4)で報告しました。

TrのIeはR2でT決まります。Ieが少ないほど感度はアップする傾向にありますが、少なすぎても発振停止など不安定になります。基本回路では33kΩで発振停止しました。
基本回路でR2xC4の時定数を同じにして、R2が22kΩ・10kΩ・4.7kΩの時の感度を測定しました。
AGC特性・S/N比・最大許容入力に大きな差が出る一方、感度の差は若干でした。
総合的に見てR2=22kΩ・C4=4.7nFにしました。

(4)L2
L2は一般には数10uHですが、最適値が良くわからないので実測しました。
検波出力はL値で変わりますが、感度はほとんど変化しませんでした。
Simulationでは、L2が大きいと発振期間が長くなるのがわかります。上が10uH、下が47uHの場合です。
発振期間が長くなると検波出力が増加するのは順当のような気はしますが、100uHで減少するのは等価並列容量が影響しているせいでしょうか。

なお、この結果を見て驚くのは発振強度がかなり大きいことです。L2=10uHのときOSC点の発振強度は250mVp-p=-8dBmと計算されます。LNAの前置はmustですね。
また発振時のIe(peak)は2本分で8mA以上と非発振時0.2mAの40倍になっています。
最終的にL2=22uHにしました。

■全回路図
正帰還形発振回路はIc(Ie)で周波数が変わることは「正帰還形GHz VCO(その1)」で報告しましたが、超再生動作ではIeを大きく変えることができないのと、非発振時のIeが小さいのでIeを変えても周波数はほとんど変化しません。そこで、バリキャップで受信周波数を変えることにします。
Ieは発振時と非発振時の比が40倍ほどあります。当初5Vラインのインピーダンスが高かったので、その影響が出て動作が不安定になったので、5Vラインのパスコンを強化しました。
■PCB
2.54mmピッチのユニバーサル基板に配置しました。
LNAとAF Ampは別基板です。

■評価
(1)受信周波数:118~122MHz
1SV280の容量範囲が2.5~5.5pFと少なかったので10MHzの範囲をカバーできませんでした。
(2)-6dB感度(0dB@-70dBm):-108dBm(LNAアリ)
(3)S/N20dB感度:-94dBm(LNAアリ)
S/N=20dBで-110dBmというのは高望みかもしれません。
(4)受信テスト
50MHzループアンテナで受信すると、FM妨害から完全に逃れるのは無理でした。
AGCレンジ内ではあるのですが、そのそも1信号選択度が不足しています。
120MHz λ/2のダイポールアンテナに変えると、FM妨害がほとんどなくなり、Tokyo Controlとの交信を快適に?受信できるようになりました。












2021年12月21日火曜日

Oscillator 1.1:広帯域VCO

正帰還形GHz VCO(その1)


■ 概要
「Discreteで作るGHz VCO」で、発振出力を取り出す方法については続編に譲ると述べましたので、この稿でそれを考察します。

■ 目標仕様
最大発振周波数:2GHz
出力レベル:0dBm

■ 回路とPCB
回路は正帰還形の発振回路をシングルエンドに変形して、エミッタフォロアを付加したものです。
          
PCBは2.54mmピッチのユニバーサル基板なので、寄生LCが無視できません。
乱暴ではありますが、Simulationと実測結果を見比べて、上記回路のL1とC1を補正します。
L1=4.7nHのときのSimulationと実測の差から、実効の値はL1=8nH、C1=0pFと見込まれます。すなわち寄生Lは約3nH、寄生Cは無視できるレベルということになりました。
実測の結果は下記の通りです。


■評価
冒頭の写真は出力にSanjian Studio社の7digit LCDカウンターPLJ-0802-Aを接続したものです。
このカウンターはamazonで¥1,686で購入しました。中国本土からChina Postで配送されたので2週間半かかりました。コロナで物流が混乱していますので、普段ならもう少し早いと思います。
英語版の仕様はPLJ-0802-Aへ。
L1=4.7nHのとき、最大発振周波数:1GHz、出力レベル:-4~-6dBmでした。
基板が基板ですのでこんなもんでしょう。

この発振回路の出力レベルは±Vbe p-pなので、(その2)で目標の0dBmにするために、帰還回路にダイオードを挿入して出力レベルを±2Vbe(p-p)にする検討報告をします。


2021年10月25日月曜日

Receiver 1.4:超再生(新形式の回路)

超再生回路を定量的に考察してみました(その4)

■概要
TRを2SC5066に変えたところ、感度が10dBほどアップしました。
超再生RXでもfTが高くNFが低いTRの方が性能が良いということでしょうか?
はっきりした理由はわかりません。

■Simulation
前回と同じ回路です。2SC5064と2SC5066とはパッケージ違いです。
Vcc=2.5V、C7=2.2nFでSimulationしたところ、-6dBの感度(最大感度)はなんと-130dBmとなりました。
熱雑音を考慮していないためですが、それにしても驚きです。

■実機の評価
Vcc=3V、C7=4.7nFとして評価しました。
2SC1815と同じ傾向ですが、S/N10dB感度は-105dBm近辺と10dBほど感度アップしています。
1kHz出力の落ちはじめも約-100dBmで、Simulationと一致しています。
また6dB帯域幅は2SC1815と同じ±0.3MHzでした。
C7とクエンチング周波数・出力レベルの関係をあらためて測定しました。
クエンチング周波数がC7と反比例の関係にあることは想定通りで、一方出力レベルはほとんど変わらないことを確認しました。
C=1.8nFのとき、弱電界で動作不安定になりました。パスコンとクエンチング周波数調整が兼用になってるのが原因かと思い、エミッタ側CR方式に変えてみましたが、傾向は同じでした。
一般に発振回路が発振するにはある程度の時間が必要です。またQが高いほど発振開始までの時間が長くなります。例えばXtalではmsecオーダーの時間がかかります。多分、クエンチング周波数が160kHzにもなると発振が間に合わなくなると思われます。中電界以上で動作し始めるのは、RF入力があると発振開始時間が早くなるためと考えられます。

■まとめ
新形式の超再生RXは感度・選択度・再現性の点で従来型のColpitts方式に比べて優れているように思えます。
可能性は秘めていますが、まだ解析の余地がありますので、引き続き検討します。


2021年10月24日日曜日

Receiver 1.3:超再生(新形式の回路)

超再生回路を定量的に考察してみました(その3)

■概要
新形式の超再生回路の提案です。
部品点数が少なく、高感度で再現性の良い回路です。

■原理
超再生回路の原理は、クエンチング(間欠)発振している回路にRF信号を印加すると、その振幅に応じてクエンチングの幅や周期が変化するので、それを平滑してAM復調するというものです。
発振回路はなんでも良く、一般的にはColpittsが使われますが、Colpittsの難点は調整を要する箇所が多いので、最適な動作点を求めるのが結構大変な点です。
部品点数の少なければ、調整ポイントも少ないので、その分検討が楽になります。

■新形式の回路
VCO技術の発展の歴史の「モノリシックVCO」に記載された差動正帰還形発振回路を参考にしました。
基本形は差動ですが、それをシングルエンドに変換することができます。
クエンチング発振をさせるには、他励式という選択肢もありますが、他の回路と同様エミッタにLとCR回路を挿入するだけでクエンチング発振します。
発振周波数はRCの時定数で決まります。
下記が実際の回路です。CR回路はコレクタ側に挿入しても、全く同じ結果になります。
この回路の良いところは部品点数が少ないことと、安定性というか再現性が極めて高いことです。
■Simulation
とりあえずコレクタ側にCRを入れる回路でSimulationしてみました。
上図のTRは2SC5064ですが2SC1815に変えて、Rは発振が持続できる範囲でできるだけ大きく、またCでクエンチング発振の周期を決めます。
最終的にはR52=22kΩ、C7=10nFとしました。L6は最適値の幅が広く、100uHでもOKですが10uHとしました。なおVccは2.5Vです。
Simulationではノイズが定義できず、検波出力からは感度が判断できません。
また6dB帯域幅は約±1MHzとなり、ColpittsのSimulation値の約半分でした。

■実機の評価
実際に組んでみました。
S/N10dBの感度は約-95dBmとラジコン基板より10dBほど良くなっています。
AGC特性はラジコン基板より劣りますが、-20dBmの強電界でも破綻しませんでした。
また6dB帯域幅は約±0.3MHzと特筆すべき狭さでした。
なおエミッタ側にCRを入れる回路でも同じ結果が得られたことを付記しておきます。

■まとめ
新形式の回路がSimulation・実機とも十分働くことがわかりました。
感度はラジコン基板より良く、帯域も狭くいい感じですが、その理由は明確ではありません。ラジコン基板も調整すればもっと良くなるかもしれず、今後の検討課題です。
TRを2SC5066に変えると感度がアップする兆しが見えましたので、次回報告します。



2021年9月21日火曜日

Receiver 1.2:超再生(Simulation)

 超再生回路を定量的に考察してみました(その2)

■概要(2023年9月改訂)
(その1)でラジコン基板の実測をして、超再生RXの良さを実感しました。
今やSimulationで回路設計することは常識、というかSimulationでしか設計できない時代になりました。果たしてSimulationでそれを再現できるか、(その2)で考察したいと思います。

■回路
ラジコン基板と同一の回路ではうまく動作させることができず、試行錯誤して下のような回路に落ち着きました。
また変調周波数は素数が無難と考え7kHzとしました。
クエンチング周波数はその2倍以上にしなければなりません。クエンチング周波数を決定する要素としてはC17/R14が支配的ですが、C15/R13とC16/R12も影響します。
様々な要素がかみ合って、結局下のような定数に落ち着き、クエンチング周波数は20kHzになりました。
Trは27MHzですので2SC1815でオッケーでした。
■Simulation
AMの変調度100%、周波数27MHzのときの各部の波形です。
Transient解析する訳ですが、LPFを介してVdetに含まれる7kHzを抽出してもいいのですが、FFT解析で7kHzを抽出すると解析時間が短いことがわかりました。解析時間を1msecとすると周波数の分解能は1kHzですが、問題ないようです。
RF入力レベルを変えた時のVdet(7kHz)のレベルをもって感度の代用とします。
若干暴れている理由、またS/N比も不明ですが、-90dBmから急激に7kHzのレベルが下がっているので、-90dBmくらいの感度と考えられます。
実際の基板とよく似た結果になったといえます。
帯域幅もSimulationしましたが、十分広いという以上のことはわかりません。参考程度ですね。
ちなみに発振中心周波数は26MHzで、なぜ受信中心周波数とズレがあるのか謎です。

■結論
今回の手法で実際の基板に近い結果が再現されたので、このSimulation法で基礎検討ができそうです。
新しく提案する超再生回路で検討を続けたいと思います。




2021年9月20日月曜日

Receiver 1.1:超再生(おもちゃのラジコン)

 超再生回路を定量的に考察してみました(その1)

■概要(2023年8月改訂)
今からちょうど100年前Edwin Armstrongが発明した超再生回路はシンプルながら高感度のRXとして良く知られています。
ただ何dBuVあるいは何dBmくらいの感度なのか、どの程度のS/N比なのか、受信帯域はどれくらいかといった定量的なデータは検索しても見あたりません。
孫のラジコンの超再生基板があったので実測してみたところ、なんと予想以上の性能で驚きました。

■ラジコンの超再生基板
基板には超再生回路とDecoder/Motor DriverのICが配置されています。
左下が超再生の回路ですが、1608の抵抗値だけは読めますが、L/C/Trについては詳細がわかりません。検索すると「MS工房 秋葉(新津)のブログ」に似た回路がありました。
■性能評価
F=26.8MHz・1kHz/60%AM信号を入力し、AF OutのS/NをAF dB Meterで測定します。
S/N比10dBの感度は-84dBmです。聴感では-90dBmまで了解できます。
LNA(GN1021:Gp=18dB実測 @30MHz/NF=2dB仕様書 @300MHz)を前置すると、さらに感度が上がり-96dBm。ちなみにICOMのIP57のAM S/N 10dB感度が7dBµ(-100dBm)ですから、感度だけは大したものです。
感度もさることながら、驚いたのはAGCが働いていると思わせるほどAF出力が一定であったことです。
検波がPWM(Pulse Width Modulation)として動作しているためと考えられますが、それにしても50dB以上のAGC Rangeがあるとは驚きです。
この辺はWWikipedia再生回路に記述があります。
それによると、超再生検波の動作にはリニアモードとログモードがあり、リニアモードはPAM、ログモードはPWMで動作している、とあります。
特にログモードはAGCの機能があるともあり、あらためてそれを実感しました。
選択度は良いというコメントも見受けられますが、Wikipediaでは良くないとあります。
S/N比20dBの6dB帯域幅を実測すると、中心周波数の7%と決して良くはありませんでした。本当は2信号選択度で評価すべきなんでしょうが、別の機会に譲ります。
また、復調帯域は約5kHzでした。

■感度の計算式
一般にAMの感度は、S=kT+BW+NF+S/Nと表されます。
27℃のkT=-174dBm、BWはIFとAFを合算して決まる帯域ですが、上の図から10kHzと仮定するとBW=30dBになります。
S/N=10dBなので、-84=-174+30+NF+10、したがってNF=50dBと計算されます。すなわち大雑把に言えば、S/N 10dB感度-84dBmということはNF=50dBに相当するということです。
ここにLNAのGN1021(Gp=18dB @30MHz/NF=2dB @300MHz)を前置すると、そのときのNFは2+50-18=34dB と計算され、NF改善度は50-34=16dB、すなわちLNA前置時は-84-16=-100dBmということになり、NFがもう少し悪ければ実測値とほぼ一致します。

(その2)では、Simulationでは一体どのような結果になるかを考察してみます。


Receiver 3.4:Dual PLL Synchronous Direct Conversion FM Radio

2重PLL同期検波によるDirect Conversion FMラジオ-2 ■概要 Receiver 3.1で、Xtal発振を参照して自励発振のVCOを制御するの第1のPLLループと、そのXtalによるVCXOの発振周波数を制御する第2のPLLループを持つ2重PLL回路が、ループ...